公開日:2020.03.12

更新日2024.08.29

チーム・組織づくり

マネジメント

KPIマネジメントの悲劇

今日は、実際にお客様からご相談いただいた内容をもとに「KPIマネジメント」「計画修正の仕掛け」の違いについてお伝えします。

まずはじめに、これまで私の記事でお伝えしたことを簡単に振り返りますね。

 【前回の復習】成果を出し続けるチーム

「成果を出し続けるチーム」が行っている効果的な活動設計の仕方として、3つのポイントをお伝えしてきました。

3つのポイントとは、この3つでした。

  • 「急所を押さえる考え方」を持っている
  • 「計画修正の仕組み」を持っている
  • 「徹底的な具体性」を持っている

成果を出し続けているチームはこのような、効果的な活動設計の仕組みを持っていたんですよね。私がご支援している企業様へのアドバイスやセミナーでも、この3つのポイントをお伝えしています。

KPIマネジメントだけでは、通用しないとは…

さて、先日、あるお客様からこのような相談をお受けしました。

「うちの会社ではKPIでマネジメントしているのですが、計画修正の仕組みを使ったやり方とは何が違うんですか?」

目標達成に向けて、KPIを設定している企業様は多いはず。

そして、このように「KPIマネジメント」と「計画修正の仕組み」の違いについて気になる方も多いのではないでしょうか。

ご相談をいただいたお客様に詳しく背景をお伺いしました。

お客様:「うちの会社では『案件獲得数』や『訪問件数』『電話の件数』や『通話数』などをKPIにしているんですが、実は、ちょっと困ったことが起きまして…」

“ちょっと困ったこと”とは一体何でしょうか…?お客様はこのように続けました。

 お客様:「部下の一人が、『実は僕、新規受注したくないんですよね…』と言い出しまして。」

と。

なるほど、雲行きが怪しくなってきたぞ…と思いながらも聞いていきました。すると、

お客様:「その部下に理由を聞くと、こんな答えが返ってきたんですよ。」

部下の方:『受注して新規取引に関する書類を作るのって時間かかるじゃないですか。だから、新規受注すると電話の件数が目標に到達しなくなっちゃうんですよね…』

…この相談を聞いた時、困ったマネージャーの顔が目に浮かびましたね…。つまり、こういうことです。

この部下の方は「目標を達成するため」ではなく「決められたKPIを達成するため」に行動したいと言い出してしまった、ということですね。

KPIを達成することが、目標になってしまっている

あなたの会社でもこのような現象、、、起きていませんでしょうか?

目標を達成するための行動指標として設定するKPIですが、いつの間にか、KPIを達成することが目標になっていた…。 これは「手段の目的化」が起きてしまった一例です。

なぜ、ご相談いただいた会社では「手段の目的化」が起きてしまったのか?

原因を見つけるためにも、実際の営業計画を見せてもらいました。

ご相談を受けた会社の1ヶ月の営業計画

1週目:電話100件 訪問10件 案件獲得3件 受注1件
2週目:電話100件 訪問10件 案件獲得3件 受注1件
3週目:電話100件 訪問10件 案件獲得3件 受注1件
4週目:電話100件 訪問10件 案件獲得3件 受注1件
5週目:電話100件 訪問10件 案件獲得3件 受注1件

この計画を見て、私は「あること」をアドバイスさせていただきました。すると、下記のような計画に変化したのです。

「あること」をアドバイスした後の計画

10月の重点施策:「外国人人材活用ソリューションへフォーカスする」

1週目(測定日:10/4):10/11までに訪問するアポ50件獲得

2週目(測定日:10/11):ニーズの合意 30件

3週目(測定日:10/18):担当者との検討合意 15件

4週目(測定日:10/25):意思決定者との検討合意10社

5週目(測定日10/31) :受注5件

見比べてみるといかがでしょうか?

計画が大幅に変わったことに気が付いていただけると思います。

アドバイス前の計画には「KPIマネジメント」がそして、アドバイス後の計画には「計画修正の仕掛け」が活用されてれいていますね。

これは、どちらが正しいという話ではありません。ここで重要な視点は、目的・目標達成のためにどちらが効果的か?と考えること。

「KPIマネジメント」「計画修正の仕掛け」もあくまで、目標を達成するための手段です。

ただ、変化の激しくなった今の時代、決められたことをやり切るだけでは、目標達成が難しい場面も増えている、ともいえます。

「あること」をアドバイスしたマネージャーはこの計画の変化を見て「こんなことに気が付いた」
話してくれました。

お客様:「誰がやっても結果に差が出にくいもの、勝ちパターンが標準化できているものはKPI管理が有効だが、ウチのように、営業マンのレベルによって結果に大きく差がでる場合は、KPIだけではだめですね…」

どうしてこのマネージャーはこのような気づきがあったのでしょうか?そして、アドバイスした「あること」とはなんだったのでしょうか?

「あること」については、また別の機会にお話しますね。

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