マネジメント
管理職は、「トップマネジメント」「ミドルマネジメント」「ロワーマネジメント」という、大きく3つに分けられることが多いでしょう。「中間管理職」は、その中の、「ミドルマネジメント」にあたります。管理職の中でも、部下、上司、他部署の方々、お客様とのパートナーシップ等、多方面とのコミュニケーションが最も必要とされ、まさに組織の中核を担う役割です。
それだけに、ただ成果を求められるプレイヤーとは異なり、求められることも多岐にわたります。
中間管理職に求められている最大の役割は、“会社から期待されている成果を生み出し続けることができるチームにしていくこと。”です。具体的には、大きく2つに分けられます。
まずは、今期目標、上期・下期目標、単月目標といったチームや組織の目標設定をし、それらを達成し続けることが求められます。そのために、重要なポイントが4つあります。
管理職はまず、会社が目指している方向性、全社戦略や事業戦略を理解したうえで、自部門の成果の定義を明確にし、それをもとに具体的な目標を定める必要があります。例えば、営業部門であれば、売上、粗利、市場シェアなどが目標として考えられますが、「売上」といっても、金額なのか、成長率なのか、新規顧客の割合なのか等、「どんな成果を生み出す必要があるのか」をできる限り具体的に描くことが重要です。そうすることで、自身が率いる組織・チームの目指すべき姿を明確にすることができるのです。
自部門の成果を定義し具体的な目標を立てたら、次に取り組みたいのが「業務の構想」です。会社全体の最適化を考え、「成果を出すために、自部門にどのような機能が必要なのか」を考えます。その上で、各機能に必要な知識・スキルを明確にします。
必要な業務の構想をしたら、日々の進捗管理とPDCAの実行、既存の業務の見直しをすること等も管理職の大切な役割です。常に目標達成から逆算し、それぞれの進捗が上手くいっているのかを確認する必要がありますが、ここで重要なことは、管理職以外のメンバーで「PDCAが回る仕組み」をつくることです。管理職だけでPDCAを回すのではなく、KPIの設計など、目標達成のために必要なPDCAの回し方をメンバーが理解し、実行できる仕組みづくりが重要です。
管理職が現場に近い立場であるほど、これまでのやり方に捉われるなど現状維持に力が働きますが、内外部の変化に適応し、成果を出し続けていくためには、常に「今のやり方でよいのだろうか?」と業務の在り方を見直すことも求められます。
このように管理職は、自分の部署が抱える課題やプロジェクトだけを成功に導けばいいというわけではなく、常に組織経営の視点を持ち、チームや会社全体の状況を的確に把握したうえで、さまざまな業務管理を担う役割があります。
会社全体が成長し続けていくためには、今期や単月だけというような短期的な目標達成だけではなく、長期的に成果を出し続けていくことができるチームづくりが重要です。管理職は、目の前の明確な目標を達成し続けると同時に、組織や人を成長させていかなければならないという役割を担っています。そのために重要なポイントを2つご紹介します。
5年後・3年後に会社が目指している方向性を実現するためには、一つ一つの部門や、ひとり一人の社員の中長期の成長がとても重要になります。目指すべき方向性に向かっていくために自部門に必要な人材像を明確にし、今いるメンバーをどのように育てていく必要があるのかを考える必要があります。
実際に部門の組織風土を作ったり、人材育成をする上で重要なのは、理念や戦略の浸透です。どんなに有能なメンバーが集まっても、それぞれがバラバラな方向に走っていては組織としての成果を出すことはできません。
「どんなチームとしてあり続けたいのか」というような理念、ビジョンだけでなく、「何を成し遂げたいのか」「そのために何をするのか」というような具体的な戦略、必要な人材像を定期的にメンバーに共有すると良いでしょう。
組織の目標を自分事として受け止めてもらうためにも、管理職が日頃からメンバーの関心事項を把握し、それらと結びつけて伝えてあげることが大切です。
では、中間管理職の役割を果たすためには、具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか。ここでは、具体的な例を挙げながら、紹介致します。
ヒューマン・スキルとは、社内における部下や他部署の方との関わりだけでなく、社外の関係者や顧客との関わりにおいても、円滑に意思疎通を行い、良好な人間関係を築くための力を指します。交渉力やプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力などが挙げられます。
組織の中で人と関わりながら、ビジネスで成果を上げるためには欠かせないスキルです。中間管理職にあたる「ミドルマネジメント」、上層部の幹部クラスにあたる「トップマネジメント」に至るまで、幅広く必要な能力だと考えられています。具体的なスキルは多岐にわたりますが、例として、社内でチームづくりをする上で必要な代表的なものを3つ紹介します。
日頃からメンバーの声に耳を傾ける姿勢や、ちょっとした声がけの内容を工夫することで心理的安全性の高い組織を構築することができます。
部下がどうなりたいのかなどを理解した上で、組織の目指す姿と重ねて仕事を任せることで、ひとり一人がモチベーション高く、自らやりがいを見出しながら、仕事に取り組めるように動機付けすることができます。
メンバーひとり一人に合った関わり方だけでなく、適切にフィードバックや課題の共有を行い、改善できるよう寄り添って指導をすることで、部下の成長を促すことができます。
テクニカル・スキルは、管理職自身が担当しているビジネスの現場で、実際に業務を遂行するために必要とされる実践的な知識や技術などです。
例えば、業界や市場の理解、文書作成能力や情報収集力、分析力などが挙げられます。営業職なら、提案力や顧客探索力など、どのスキルを求められるのかは業種によって異なります。具体的なスキルは多岐にわたりますが、例として、社内でチームづくりをする上で必要な、代表的なものを3つ紹介します。
組織として成果を出すためには、自分たちが”何を成し遂げたいか”を明確にし、それを実現するために必要な緻密な計画を立てる力が必要です。
単にタスクの進捗度合いだけを管理するのではなく、結果までのプロセスにも目を向け、改善を繰り返していくことで、効果的・効率的にチームを目標達成へ導くことができます。
確実に組織で成果を出すためには、”問題になっていることはどんなことか”、”その原因は何か”、ということを正しく分析する力が必要です。事実を正しく分析し、解決のための一手を明確にすることで組織のパフォーマンスが向上します。
中間管理職は組織の中核を担う役割であるため、企業が業績を伸ばしたり、組織を拡大したりするには、必然的に、管理職の育成は必要不可欠といえるでしょう。
ではこれまで以上に、管理職研修のニーズが高まっている理由とはどのようなものなのでしょうか。
管理職研修のニーズが高まっている背景には、時代の変化に伴い、求められているマネジメントのスタイルも変化しているということがあります。
30〜50代の管理職が新人だった頃に多かった、当時のパワーマネジメント・ボスマネジメントと言われる、ボスが指示を出してトップダウンで組織を動かしていくようなチームマネジメントは、今の時代には適していないといえるでしょう。
OJTと言いつつも”目で見て盗む”というような状態で、「誰かに育ててもらった経験があまりなかった。」、「これまでマネジメントに関する知識を学ぶ機会がなかった。」という管理職世代の方は多いと思います。
自身の経験をもとに、当時の価値観でチームマネジメントを行うと、場合によってはハラスメントになる可能性もあります。特に、Z世代と言われるような、丁寧で具体的な指示を期待している今の若い世代とは、ミスマッチが起きてしまう可能性も高いでしょう。テレワークやリモートワークが進む中、世代間のGAPや価値観の多様化により、メンバーひとり一人に合ったマネジメントが求められています。
このように、これから育っていく若い世代のメンバーでチームを構成し、成果をあげられるようにするには、今の時代に合った、効果的なチームマネジメントをすることができる管理職を育てていく必要があります。
管理職という組織の中核を担う役割が正しく機能すると、チーム内だけでなく他部署との情報の連携が円滑になり、組織全体の回りが良くなるという効果が期待できます。
様々なチームが関わり合い、互いに作用し合うことで相乗効果が発揮され、全体の成長を促し、強い組織を構築することができます。
”これまでマネジメントを学んでこなかった”という理由から、過去に自分が実際にマネジメントされた上司の影響を強く受けたり、自己流のやり方で行ってしまったりするという傾向があります。
しかしながら、現在の管理職の世代と今の若い世代では、育ってきた環境の違いによって持っている価値観にも違いがあり、これまで通りのマネジメント手法では、上司と部下の間にミスマッチが生じることもあるでしょう。自分とは違う価値観の世代を理解し、これからの時代に合ったマネジメントを学ぶことで、若い世代の成長を促し、より成果を上げることができる組織へと成長することができるようになります。
最近は、多くの企業でマネジメントの専任者は減ってきています。現場で自身の業績も上げながら、チームのマネジメントを行うというような、プレイングマネージャーの負担は大きく、悩みや課題を抱えている方も多いと思います。
特に、大きな企業になればなるほど、組織の構造が複雑化するのでより大きな負担がかかるでしょう。管理職研修で具体的な知識やスキルを習得し、現場で活かすことができる力を身に付けることで、それらの課題を解決することができます。
また、同じような悩みを持った、他の参加者との横のつながりや相談相手ができることで、管理職自身の悩みが軽くなることもあります。
近年、会社におけるハラスメントの問題は、以前よりも厳しく指摘されるようになりました。社内でのコミュニケーションにおいて、表面的なスキルだけでなく、”それらの力をどのような方向性に発揮するか”というような、在り方・考え方から学ぶことは、現場でそういった人間関係のトラブルが起きないようにするための予防にも繋がります。
管理職研修を実施する際の、ポイントを4点紹介致します。
管理職に求められる役割の多さに比例して、管理職研修では学ぶべきことも多岐にわたります。
そのため、1回の研修で全てを網羅することや、研修受講者が学んだことをすぐに習得できるようになるのは難しいでしょう。
一度研修をしてから1年経ったら学んだ内容を忘れてしまったり、”わかったようなつもり”になっていたけれど、実は理解することができていなかったり、ということは多々あります。
同じことを学んでも学ぶタイミングが違うと、そこで初めて得る気づきがあったり、”やっぱり理解できていなかった、インプットできていなかった”というような、自身の課題を発見したりすることもあるので、最低でも年に数回、繰り返し研修を行うことがオススメです。
管理職研修というと、”どんなテクニックで部下を育成すれば良いか”という視点に捉われてしまいがちです。
確かに、”部下を理解するための聞き方”というような傾聴のスキルや、”部下に伝わる話し方”、”チームのまとめ方”というようなマネジメントのスキルなど、コミュニケーションのテクニックや知識・スキルを磨くことは重要です。
しかし、テクニックの部分だけ学んでも、そのスキルを間違った方向に使ってしまうと、結果的にそれらは効果の低いものになってしまうでしょう。
そのため、管理職研修においては、小手先のテクニックだけなく、マネジメントや部下育成、チームづくりにおける”考え方・在り方・姿勢”というような、土台となる部分をしっかりと鍛えることができる内容にすることがポイントです。
マネジメントや部下育成、チームづくりにおける”考え方・在り方・姿勢”というのは、知識・スキルに比べて概念的なものになってしまいがちです。
そのため、それらを正しく理解できる内容にするためには、研修の中に、身近な事例やケーススタディを用いた、ディスカッションやワークショップを取り入れることが効果的です。 実際の具体的な事例等を用いることで、参加者が”自分だったらどうするか”と、自分に置き換えて考えることができるようになります。
さらには、参加者同士でディスカッションすることで理解が深まったり、お互いに気づきを得ることができたりするので、現場での実践がイメージしやすくなるという効果が期待できます。
管理職の研修でよく扱われる、チームマネジメントに関することの多くは、書籍などで知識としてインプットをする人も多いと思います。
しかしインプットするだけでは、”知っているけれどできていない・実行できない”という状態に陥りやすいでしょう。
実際に学んだことを、”できるようになる”まで自分の身に付けるためには、研修の中に、実践型のロールプレイングなどを取り入れたり、実務で具体的に行うことを決める時間をとったりする等、実際のマネジメントの現場でアウトプットできるような出口をつくることがポイントです。
中間管理職は、現場と経営者を繋ぐ役割を果たし、その能力次第で部下の成績が大きく影響される責任のあるポジションと言えます。その分業務も多岐に渡り、さらに上司と部下の板挟みにあいやすいなど、責任と同時にストレスも受けやすいのが特徴となります。
会社が組織として成長をしていくためには、中間管理職が中長期的に成果を出し続けることができるような、育成の工夫をすると良いでしょう。それぞれが向上心を持って組織のビジョンに向かえるような中間管理職が増えていけば、結果として会社全体も活性化されるはずです。
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