ダイバーシティ
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「女性管理職を増やしたい」
「管理職を目指す女性社員がいない」
「女性の管理職を育てたいけれど、何に取り組めばいいのかわからない」
企業の人材育成のご相談を受けていると、ここ数年はこれまで以上にこんなお声を聴くことが増えました。近年「女性管理職を増やしたい」という企業が増えた理由には、2015年の「女性活躍推進法」の制定や「2020年代の早期には女性管理職の比率を30%以上にする」といった政府の方針やダイバーシティ促進の影響があります。
そして、その方針の背景には「労働人口の確保」という一面があります。少子高齢化によって国内の労働人口の減少という問題を抱える中、女性が管理職として活躍することで、労働人口やリーダーの数を引き上げる効果が期待できる、という考えです。
しかし、日本における女性管理職登用の現状は、下記のグラフが示すように
各国と比較すると、就業者に占める女性の割合は差がないのに、管理職の比率は各国が30%程度の中、日本は13.2%と低い水準になっています。
また、2022年に帝国データバンクが全国2万5,723社(有効回答企業数1万1,503社)を対象に行った『女性登用に対する企業の意識調査(2022年)』では、「2020年代の早期に女性管理職の比率を30%にする」という政府の目標に対しては、30%という目標を達成している企業はわずか9.5%でした。
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なぜ、これほど日本企業において「女性管理職登用」が進まないのでしょうか?
様々な企業のご状況を伺う中で良く挙がる理由を整理していくと、下記の2つの理由が最も多く出てきました。
理由1 管理職は労働時間も長く、家庭と仕事を両立できる環境が整えられていない
理由2 根強い男女の役割意識があり、女性管理職のロールモデルがいない
ただ、各企業でのお取組みを伺っていると、1の問題に対しては、働き方改革促進やリモートワークの浸透などの影響もあり、「仕組みや制度」の面から具体的な一手を打ち、変革が進んでいるような感触があります。
それとは対照的に、なかなか効果的な一手がなく苦戦されているのが、理由2の「根強い男女の役割意識があり、女性管理職のロールモデルがいない」のようです。
社員お一人お一人の内側にある「意識」なだけに外側からのアプローチでの改革が難しいということ、そして今現在ロールモデルがいない中で、どうやって女性管理職を育成していけばいいのか?という悩みをお持ちでした。
「管理職は男性の仕事、女性はそのサポートが向いている」
「女性には管理職は難しい、実際社内の管理職は男性ばかりだし」
「女性で管理職になっている人は特殊な人で、私とは全然違う」
理由2の「根強い男女の役割意識があり、女性管理職のロールモデルがいない」を実際の声にしてみると、こんなイメージでしょうか。
私たちの物事の見方や捉え方は、これまでの自身の経験や体験、つまり実際に見て、聞いて、知ったことで創られていきます。そう考えれば、これまで社内に女性管理職がおらず、上司は常に男性だった場合、「管理職は男性、女性では難しい」という意識になるのも、ある意味自然なことと言えます。
では、そんな中で「女性管理職」を育成する為には、どのようなアプローチをしていくことが効果的なのでしょう?
私自身も企業の中で、チームリーダー、マネージャー、経営幹部、と管理職として成長の階段を上がる経験をしてきましたが、常にロールモデルはいませんでした。それでも管理職という役割を担い進むことができたのには、理由がありました。その理由の中から企業での「女性管理職育成」に役立てていただける2点のポイントを具体的にお伝えします。
「自分がもし管理職になったら」と想像する時、多くの人が一番最初に思い浮かべるのは、身近な上司が「日々何をどんな風に行っているか?」ではないでしょうか?
例えば、
「部下にテキパキ指示を出し、相談には適切に回答している」
「接待や社内飲み会、ゴルフなどの業務外の付き合いも大切にしている」
「方針や戦略を自ら考え、示し、チームを引っ張っている」
「誰よりも長時間働き、休まない」
といった姿が思い浮び、
もし仮に「自分は同じようにはできない」と思ったら、なかなか「よし、管理職を目指そう!」とはならないですよね。
ましてやその姿の中に、
「上司と部下の板挟みで悩みが多そう・・・」
「重い責任のプレッシャーで潰れそう・・・」
「いつも余裕がなく、疲れている・・・」
といったネガティブな様子が思い浮かべば、「私も管理職になりたい!」という意欲につながらないのも無理はありません。
特に男性管理職が多い企業の場合は、当然「男性が目指しやすい管理職の姿」ばかりを目にすることになるので、女性社員にとっては「私には同じことはできない」という感覚が生まれやすいと言えます。実際、私も男性の経営幹部の姿を見て「同じようにはできないな」と、感じたことがあります。
でも、それらは全て手法であり、リーダーシップの1スタイルでしかありません。
本来、マネジメントは管理職自身の個性や能力も大きく影響する為、「こうでなければならない!」と無理して誰かのやり方をコピーするのではなく、自分に合ったマネジメント手法やリーダーシップスタイルを選ぶ方が効果的ではないでしょうか?
最も大切なのは、会社が目指す方向へ成長していくために、自チームが求められている成果を出すことであり、それを自分自身が遂行するために効果的なマネジメント手法やリーダーシップスタイルを選んでいけばいいのです。
クライアント企業の次世代女性管理職候補向け研修でこのお話をすると、参加された方から「もっと自由に考えていいのだ、と安心した」といった感想をもらいます。
過去や現在の管理職の姿から「こうでなければならない」という考えに囚われて、管理職になることをあきらめたり、自分には無理だと思っている社員がいる可能性もありますので、その思い込みを解除していく為にも、上記のようなことを伝えていくのも効果的な方法ではないでしょうか。
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その上で「会社が目指す方向へ成長していく為に、自チームに求められている成果」を出せる管理職を育成する上で、必ず押さえておかないといけない重要なことがあります。それは、下記の3点です。
1 会社の目指す方向は理解できているか?
2 チームに求められている事は何か?を理解し、合意されているか?
3 管理職である自分が果たすべき役割を理解し、合意されているか?
このように記載すると、3つとも当たり前の事柄のようですが、私が研修でお会いするミドルマネジメント(中間管理職)の方の多くは、男女関係なく、2は理解できているけど、1は曖昧にしか理解していなかったり、2についても上司と認識がずれていることがあります。これはつまり「チームや部門をマネジメントする」という「すること」は漠然とわかっているけれど、それが「なぜ、何のためなのか?」「いつまでにどんな状態にするのか?」という目的と目標が抜け落ちている状態、ということになります。
また、1~3について理解はしているけど、合意していないという状況も度々目にします。合意していないというのは、つまり、目的も目標もその為に果たすべき役割も上から言われたものであり、自分のものになっていない状況ということです。当然この状況ではパフォーマンスが出せないのは、皆さんもお分かりになると思います。
「何をするのか?」や「どのようにするのか?」に囚われる前に、まずは「目的」「目標」を理解し、合意すること。それさえできていれば、その為に「何をするのか」や「どのようにするのか」は、個々の個性や強みを生かしていくほうがはるかに効果的ではないでしょうか?
このように手段を柔軟に考えるマネジメントは、ライフイベントによって働き方に影響を受けやすい女性管理職にはとてもフィットします。また、女性管理職だけに限らず、多様性を受け入れるチームマネジメントを求められている今、一つのマネジメントスタイルに固執せず、状況に合わせて、柔軟にマネジメント手法を変えていく力は一層求められていくのではないでしょうか?
今回は、私自身がロールモデルもいない中で管理職という役割を担い、前に進むことができた理由にもつながる2つのポイントの中の一つ、「目的と目標の共有と理解」についてお伝えしました。
社内に「ロールモデル」がいない環境で次世代の女性管理職を育成するなら、社内に作っておくべき機会があります。それは、「INPUT」の機会です。リーダーシップの発揮やチームビルディングなどのマネジメントに関する考え方、指示の出し方やコーチングなどの基本的なマネジメントスキルも、「INPUT(学習)」がなければ、当然「OUTPUT(実施)」することはできません。
そして、これまでの管理職育成のように「背中を見て学ぶ」OJTでは、女性管理職育成が難しいというのは、前回の内容でもお伝えしました。つまり「INPUT」をOJT以外の方法でできる環境を整えておくことが、女性管理職育成においてはとても重要なのです。
2020年に「役職についていない正社員20代~50代の男女400名を対象にしたアンケート(マンパワーグループ調べ)では、「管理職になるための教育制度・フォローアップがあるか?」という質問に対して「ある」と答えたのは、わずか2割程度でした。
つまり、「管理職になるための教育の仕組み」や「学習の機会」が整っている企業は少ない、ということがわかります。
ロールモデルがいない環境の中で、次世代の女性管理職を育成していく為には、まずは、「管理職になる為の教育の仕組み」を作ること、例えばチームマネジメントに必要なことやリーダーシップを発揮する上で重要なことなどを学ぶことができる環境を整えることから始める必要があります。「INPUT」なしに「OUTPUT」はできず、また、知識がない中で「自分には向いている」「向いてない」を正しく判断することもできないからです。
ただ、学習の機会として社内で「管理職研修」などを実施しても「効果を感じない」、「学んだことを活かしているようには見えない」「やらされ感で受講しているだけ」といった課題を感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
研修などで「INPUT」したことを「OUTPUT」のレベルまで持っていく為に、鍛えておくべき力があります。それが「置換力」です。
「置換力」とは、研修などで学んだ内容を自分の環境、仕事に置き換えて考え、学びを活かすためには実際にどんな思考や行動をすればいいのか?を具体的に考えることができる力です。この力があるかないかで、学習した内容を実践でいかせるかどうかが変わってきます。つまり、「INPUT(学習)」の後に「THINK(置換して考える)」するからこそ「OUTPUT(実践)」」できる、ということです。「置換力」は個人差がありますが、鍛えることができるものです。
是非この「INPUT→THINK→OUTPUT」の仕組みを「管理職育成の教育」の中に入れてみてください。それが教育を効果的なものにするコツです。
弊社が提供しているSmart Boardingという学習システムの中には、この「INPUT→THINK→TRY」の仕組みが入った「管理職育成のための学習コース」を多数ご用意していますので、ご興味がある方は是非下記からご覧ください。
▼管理職育成のための学習コース
https://www.smartboarding.net/scene/leader
「社内にロールモデルもおらず、これまでの管理職教育手法では次世代の女性管理職はなかなか育成できない」そんなお悩みを少しでも解決したく、これからの女性管理職育成で大切になるポイントを2つお伝えしてきました。
是非、少しでも皆様の参考にしていただければ幸いです。
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