チーム・組織づくり
マネジメント
あなたは、綿密な行動計画を立て、「これで達成できる!」と意気揚々と活動をスタートしたにもかかわらず、成果がでなかったご経験はありませんか?
今回は、完璧に見える計画に潜む「落とし穴」に見事にはまってしまった、ある店長のお話をします。
それは私が新人コンサルタントだった頃の話です。クライアントだった店長【A】様のところに伺いました。私が席につくなり、店長【A】様が自信ありげに見せてくれたのは、売上目標を達成するための行動計画です。一目みた私は
「すごい!」
と思わず、声をあげました。
なぜなら、店長【A】様は計画を立てるのが嫌いで、
「どうせ計画通りに進まないんですから」
「臨機応変にやります」
がいつもの口癖だったからです。それにもかかわらず、綿密な計画を立てていたからです。
「ここまで綿密な計画を立てられれば成果は出るだろう」と私は安心していたのですが…
日増しに売上目標と現状のギャップは、広がるばかり。そこで改めて、店長【A】様と打ち合わせをすることにしました。
【A】様が見せてくれたのは、前述の行動計画です。手書きで実施状況がメモされていました。拝見すると、
「済み、済み、済み・・」
と行動計画はほぼ全て、実行済みになっています。
中でも、私は「(施策【B】に対する)スタッフの理解」という項目に注目しました。
施策【B】は、売上目標を達成するための重要施策でしたが、全然、成果がでていませんでした。
これが、目標と現状のギャップが広がっている原因であると仮説をたてていたのです。
しかし、
①「全スタッフへの周知」→実行済み
②「全スタッフに理解の確認」→実行済み
になっていました。
私は、
「ちゃんと全スタッフに周知して、理解も確認しているのか・・・」
「じゃあ、何が原因なんだろうか?」
と途方にくれてしまいました。
店長【A】様がお客様対応で席を外した隙に、私は上司に電話しました。
「そんなこともわからないのか!」
「吉村自身が出来ていないから、気がつかないんだ!」
とお叱りの言葉とともに、とっておきのアドバイスをくれました。
店長【A】様が戻ってくると早速、私は質問しました。
「この行動を通じて、得たい結果は何ですか?」
すると、店長【A】様は目を丸くしました。しばらく考えた後、おっしゃったのは、
「思い出せません」
「計画をたてた時には、考えていたと思うんですが、それ以降、すっかり忘れていました。」
「自分でも良い計画を立てられたと思ったので、あとは行動に移しさせすればいいと思っていました。」
でした。
店長【A】様は、綿密な計画を立てたことに満足してしまっていました。そして、売上目標や得たい結果ではなく、計画通りに行動することに意識が集中していました。
この観点で、「(施策【B】に対する)スタッフの理解」を確認すると、
①「全スタッフへの周知」は、店舗の共有ノートに記載しているだけでした。
②「全スタッフに理解の確認」は、共有ノートをみたらサインをしてもらっているだけでした。
実際、スタッフを一人呼んで理解度を確認すると、施策【B】のことを、まったく理解していません。そこで、改めてスタッフ全員に説明する時間を調整し、ロールプレイングを行いました。すると、スタッフはすぐにコツを掴んで、施策【B】を力強く推進していってくれました。次第に、売上もあがっていきました。
歯を食いしばって、行動計画をやりきったとしても、得たい結果から目をそらすと成果は出ません。
あなた、もしくは部下や後輩がこのような問題を抱えているならば、その計画は「なぜなんのために?どのような状態に?」を考えてみると、意外と簡単にスカッと問題解決されるかもしれませんね。
このコラムが皆さんの「働くをおもしろく」するお役に立てれば幸いです。
いつかどこかの研修でお会いできるのを楽しみにしております。
以上、吉村 優士(よしむら ゆうじ)でした。
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