公開日:2022.03.18

更新日2024.08.29

マネジメント

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中期経営計画とは?基礎知識から策定方法までトータルで解説

 

 

中期経営計画とは、その名の通り「中期にわたる計画を立案する経営計画」のことです。そこで気になるのが、この”中期”というのが、”どのくらいの期間を指すのか”ということです。中期経営計画における期間というのは、一般的に3〜5年程度のスパンを指します。つまり、現在からおよそ3〜5年間において、どのような経営的な目的を達成していくかを策定するのが、中期経営計画ということになります。

中期経営計画とは?

多くの企業において一定期間の経営計画を練る際には、この中期経営計画を検討することになります。中期経営計画のほかには、短期経営計画や、長期経営計画というものもあります。短期的な経営計画は、多くの場合、1年スパンの計画のことを指します。実質、計画というよりは、業績の目標という位置づけで検討されることが多いでしょう。

一方で、およそ10年のスパンで計画を立てるのが、長期経営計画です。しかし、変化が激しく不確実な時代である近年は、なかなか10年後の経営環境を読むことは難しいでしょう。そのため、ある程度予測がしやすい5年程度のスパンの、中期経営計画を立案することが主流となっています。

中期経営計画を作成する目的と効果

では、この中期経営計画を作成する目的とは何か。また、中期経営計画を立てることで得られる効果とはどのようなものなのでしょうか。ポイントごとにまとめて見ていきましょう。

自社の現状を把握し、課題発見ができる

3〜5年にわたる経営計画を作るために、まず、しなければならないことは何でしょうか。ゴールを決める際に一番重要なことは、現状の把握です。”会社が今どのような状況にあるのか”、”どんな課題があるのか”を把握できていなければ、その後の計画も、計画による着地点も見誤ってしまい、計画を立てる意味がなくなってしまいます。そして、会社の課題を把握するには、自社の社員の構成や組織風土などの内部環境と、競合や自社商品の市場の動向などの外部環境を、それぞれ正しく知る必要があります。

中期経営計画を策定するにあたって、これらの現状を把握することによって、今後の会社を成長させていくために、自社に必要な要素を明確にすることができます。

解決すべき課題の優先度が決められる

中期経営計画を策定する際には、実施する計画の各タスクに対して優先順位をつけなければなりません。もちろん計画に付随するすべてのタスクを終了することが理想的ですが、少しでも早く効果を発揮できるようにするためには、”どの施策をいつ頃行うか”ということを考えると良いでしょう。その結果、今抱えている課題や問題、チャレンジするべきことに対して、どこから手をつけていくかという優先度が可視化されます。それまで漠然としていた数多くの課題に優先度が設定されれば、着手しやすくなり課題解決もスピーディーに進むようになるはずです。

従業員も経営者視点を意識することができる

中期経営計画を立てるなどの施策なしの状態では、役職を持たない、あるいは低い役職の従業員は、経営に対する意識を持つことは難しいでしょう。しかし、中期経営計画を立てるにあたって、すべての従業員がそのプロジェクトに関わるようになれば、必然的に全員が経営的感覚を意識するようになります。中期経営計画を実現するためには、そのような意思の統一が必要なのは当然ですが、それ以外の局面においても、従業員が経営的な視点を持って行動することは、望ましい結果を作り出します。

さらに、業務的な成果を直接的に挙げるだけでなく、大きなゴールを目指すという全社的な一体感や、従業員一人ひとりのモチベーションのもとになるという効果も期待できます。

企業に対する社外からの信頼が高まる

中期経営計画を策定した場合、その内容を外部に対して公表するケースもあります。これは外部に今後のビジョンを指し示すことによって、得られるメリットがあるからです。まずは中期経営計画をきちんと立てているという事実によって、自社の取引先からの信頼感が高まります。将来を考えていない企業との取引は、不安が残るからです。取引先は取引相手に対して安定性を求めますから、きちんと計画を立てて経営を進めていくという意思表示として、中期経営計画の公表は価値があると言えるでしょう。

さらに、その計画の中に新しい取り組みが含まれていれば、今後の取引に対する期待感も高まります。取引先だけでなく、自社に関わる金融機関などに対して好感を抱いてもらえるようなアピールとしても、計画の公表は価値があると言えるでしょう。

経営者のビジョンが共有できる

中期経営計画の策定を通じて、仮にすべての従業員がそれに関わったとしても、計画の根幹はやはり経営者が道筋を立てるものです。これを経営者からの一方的な伝達として従業員に伝えても、理解してもらえない可能性もあります。

一方で、策定するにあたり、その計画やビジョンを経営陣と従業員が共有すると、従業員がそれらの目標を自分事として捉えることができるようになります。さらには、従業員が、中期経営計画の策定に自分自身も携わったと感じることで、”この目標を自らの手で達成する”というような当事者意識が芽生え、モチベーション向上にも繋がると考えられます。ビジョンの共有こそが、目標達成の鍵を握っているということをよく理解しておくべきでしょう。

 

 

 

中期経営計画の策定方法と手順

では、この中期経営計画は、実際にどのように策定していけば良いのでしょうか。その方法と手順についてポイントをまとめてみました。

経営理念を再度明確にする

どのような会社でも、経営理念というものが存在するはずです。もしまだ経営理念が成文化されていなかったり、あるいははっきりしていなかったりするのであれば、中期経営計画を立案する前に、再度経営理念を明確にしておきましょう。中期経営計画は企業の経営理念に沿って策定されるものであり、その理念が不確かだとしたら計画の価値も半減してしまいます。

自社を取り巻く外部環境を理解する

ビジネスの変化スピードがどんどん加速している現在では、自社の社内状況だけでこれからの計画を立てていくことは難しくなっています。そのため5年程度のスパンで経営計画を立てる際に重要になるのが、市場の動向や競合の状況などといった、外部環境を正確に把握しておくことです。市場シェアや商品の価格や価値、競合との比較など、まずはしっかり外部環境を理解しておきましょう。

経営戦略を立てる

経営理念と外部環境、さらには自社の現状を客観的かつ正確に把握したら、次に計画の根幹となる経営戦略を策定します。現状の自社の強みや弱み、強豪の状況、市場の様子を加味した上で、これから5年程度の中期的ビジョンで自社が何をしていくべきなのかをしっかりと検討します。企業の実績と従業員がどんな姿になるべきなのか、それを実現するための戦略を考えてください。

戦略を基にした行動計画を策定する

経営戦略を明確にしたら、次にするべきことはその戦略を実現するために、何をするかを決めることです。経営戦略は全体的な設計図のため、それを細分化した行動プランを決めなければ実現するのは難しくなってしまいます。”誰が、どこで、何をするか”という具体的なアクションとして、決定した経営計画の内容を現実にするためのプランをしっかりと練りましょう。

進捗状況を確認する

中期経営計画というものは、一度作成した限りで終わってしまっては全く意味がありません。立案した中期経営計画が、どこまで達成されているのか、期限通りに進んでいるのかという進捗状況は、定期的にチェックする必要があります。そのため、継続的に進捗を確認できる仕組みを作るとともに、進めながら改善できるようなPDCAサイクルを中期経営計画にも取り入れておきましょう。常に、進捗状況に対しての次の一手を明確にし、より円滑に進むような改善案を考え、実行していくことがポイントです。

 

 

 

中期経営計画を策定する際の注意点

では最後に、中期経営計画を策定する際にはどんな注意点があるのかを見ていきましょう。

計画の可視化を意識する

中期経営計画は経営陣、マネージャーだけで進めるものではなく、全社的に取り組まなければならないものです。そのため、現場レベルでも常に意識することができるように、計画や進捗状況は上層部だけでなく、社内全体で把握できるような仕組みをつくることが重要です。さらに、可視化する際のポイントが時間的な期限です。期限を明確にしておかないと、従業員が具体的なアクションを起こしにくくなります。”いつまでに誰が何をするのか。”そして、”現状はどうなっているのか。”を可視化することが、中期経営計画を実施する際の注意点です。

予材管理を意識する

中期経営計画を立案すると、ほとんどの場合は事業の目標を設定するはずです。その目標を達成する手段として是非活用したい手法が、この予材管理です。予材管理とは、売上高が目標であるのなら、その売上高を達成するために必要な「営業材料」を余分に仕込んでおくという手法です。余分というのがどの程度かと言えば、売り上げ目標を達成するために必要な営業材料、具体的には営業先などを、必要と思われるよりも倍まで積み上げるというのが、この予材管理となります。

目標を達成するために最低限の営業しかしなければ、現実的に100%の達成度は難しくなります。しかし、その倍の営業工数、営業先を設定すれば、目標達成の可能性が高まるのです。とはいえ、倍にするといっても、”どのくらい行うことが効果的なのか”ということに関しては、それぞれの会社によって違うので、自社の目指す方向性に向かって設定すると良いでしょう。

まとめ

企業において、これからの経営方針や成長の方向を決定するためには、中期経営計画の策定は必須と言えるでしょう。ただし、一時的なことだけで中期経営計画を立案するのではなく、その後の取り組みをいかに確実に実行していくことができるか、ということが重要です。

まずは、正しい方法で価値のある経営計画を策定すること。そして、継続的にPDCAを回しながら改善を繰り返し、計画を確実に遂行する仕組みをつくること。これが、中期経営計画を成功に導くポイントです。

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