公開日:2021.02.26

更新日2024.08.29

チーム・組織づくり

マネジメント

チームビルディングとは?よくある課題点と解決のための進め方

はじめに

企業や組織は、構成する社員の一人ひとりが最大限の能力やパフォーマンスを発揮しないと、成果を出すことが難しいものです。しかしながら、チームのあり方は昔に比べて変化しており、リーダーが全体や一人ひとりに一方的に指示を出すだけではチーム力が向上しなくなっています。

そこで注目されているのが、チームビルディングです。チームビルディングは、メンバー一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを作るときに、効果をもたらします。

この記事では、チームビルディングの概要や、よくある課題と解決方法などをご説明します。ぜひ、チーム力の向上に役立ててください。

チームビルディングにおけるよくある課題

はじめに、チームビルディングについてと、よくある課題をご説明しましょう。

チームビルディングとは?

チームビルディングとは、チームや部署内の各社員一人ひとりがスキル、能力、経験を最大限に発揮し、目標に向けて取り組むことです。

目標達成のために優秀な人材を集めると、チーム力が向上すると思われがちです。しかし、優秀な人材が集まれば、必ずしもチーム力が向上するわけでもありません。現在いるメンバーにおいて、それぞれが異なるスキルを尊重してうまく融合していくことが、チームビルディングには必要です。そのために、研修を行ない、日常業務でコミュニケーションを大事にすることも、チームビルディングの一環となります。

よくある課題点

チーム力を向上させるためにチームビルディングに取り組む企業も多いですが、難しさもあります。

日本では、多くの人が集まればさまざまなアイデアが生まれるとして、「三人集まれば文殊の知恵」ということわざが知られています。一方、フランスでは「一人のフランス人は聡明、二人のフランス人は議論好き、三人のフランス人はカオス」というジョークがあり、日本のことわざとはまるで逆の意味を持ちます。

このことからも、いかにチームビルディングが難しいかがわかります。また、チームビルディングの難しさは、以下の理由も起因しています。

成功も失敗も自己責任とする文化

今一度、自社の様子を振り返ってみてください。成功や失敗を自己責任とする文化が根付いていないでしょうか。もし自己責任の文化が根付いているとすれば、何かあっても個人で解決することが当たり前となってしまいます。そうなると、チームで目標に向かうという意識や考え方が浸透しません。そのため、チームビルディングにより、社員の自己責任から相互的責任にマインドを変えることが必要です。

チームについての伝統的な考え方

日本は、農業から工業にシフトチェンジしたことで経済が成長しています。工業化時代は、技術を習得しているリーダーが部下一人ひとりに指示を出して業務を進めてきました。指示を受けたメンバーは与えられたことをどれだけこなしたかで評価が決まり、他の社員は協力者というよりもライバル関係だったわけです。

このような工業化時代の業務スタイルやマインドに慣れてしまうと、相互的な協力ができない企業風土が残されてしまいます。

業績や目標の達成に向けた意識の低さ

チームビルディングでは、各個人に業績や目標の達成に向けた高い意識が必要です。これまでの終身雇用が約束されていた時代は、収入を失う心配がありませんでした。そのため、会社やチームのために果敢に挑戦する必要がなかったわけです。チームビルディングをする必要もなく、会社は仲良しクラブのようになっていたとも言えるでしょう。

しかし、今では終身雇用は崩壊しており、意識が低い従来の思考を持った社員が多い会社では、チームビルディングは難しいでしょう。

以上のようなことが、チームビルディングの難しさ、課題といえます。ただし、どのような背景があるにしても、研修や練習をしないでチーム力を向上させることは難しいのではないでしょうか。研修をする機会を増やしていけば、チームビルディングの課題も解消できるでしょう。

チームビルディングの目的

ここからは、チームビルディングの目的を詳しくみていきましょう。チームビルディングには、以下のようにさまざまな目的があります。

マインドセット

チームビルディングの目的は、社員が1人では達成できないような目標に向かって、チームとして取り組むことです。チームで目標を達成するには、社員一人ひとりに「目標を達成したい」というマインドが必要です。また、目標に向けて個人個人が行動して、他のメンバーとより良い関係性を築くことがチームのまとまりにつながります。

ビジョンや目標の浸透

新人研修や新プロジェクトの立ち上げの際に、チームビルディングに取り組む企業が増えています。その理由は、企業のビジョンやプロジェクトの目標が浸透しやすいからです。ビジョンや目標が浸透することで、チームの一体感が向上してより良いチームに仕上がります。

コミュニケーションの活性化と適切な人員配置

チームが機能しない原因のひとつは、コミュニケーション不足です。コミュニケーションが不足するとメンバー同士の信頼関係が構築できないため、チーム力が低下してしまいます。しかし、ワークや研修をこなすことでコミュニケーション力は向上していくでしょう。そのような活動を通じてコミュニケーションが活性化すると、メンバーの意見や価値観などが共有しやすくなり、リーダーは適切な人員配置ができるようになります。

主体性を身につける(新入社員、若手社員)

チームビルディングを実施すると、新入社員や若手社員が主体性を身につけることが可能です。新人社員や若手社員に、ほかの社員とのコミュニケーションの取り方や仕事への姿勢について研修を行うことで、社会人の基本が身につきます。それにより、業務に責任を持って取り組むことが理解でき、主体性が身につくでしょう。

リーダースキルの育成(中堅社員)

中堅社員はチームのリーダーとして管理職と現場の社員の間に入り、チームをうまく機能させる役割があります。このような中堅社員へのチームビルディングでは、リーダーとしての教養や素養、変革をイメージさせる能力を育てる目的で行うと効果的です。その結果、現場の社員の状態や業務の状況を把握しながら目標達成のために何が必要なのか、考えて実行できるようになります。

体制づくり(管理職)

管理職は中堅社員に経営陣の意思を伝達して、具体的な戦略を実行する立場にいます。また、管理職は将来的に経営陣に昇格する人材です。チームビルディングでは、部署内の方向性を統一して、目標の達成に向かっていく体制づくりが目的となるでしょう。さらに、部下育成のスキル養成もチームビルディングの目的になります。

ビジョンに向けて牽引(経営陣)

経営陣はトップマネジメントの立場として、経営方針の策定、組織の統制を行う役割があります。経営陣のチームビルディングでは、全社でビジョンを共有することや、そのために社員一人ひとりの能力を引き出すこと、さらに全員が意識を統一して牽引することが目的です。

チームビルディングを行うメリットや効果

チームビルディングを行うメリットや効果は以下の通りです。

社員のモチベーションが向上する

仕事をするうえでモチベーションの維持や向上は大切な要素です。とはいえ、モチベーションの向上には、お金(報酬)、地位、名誉、自己表現などさまざまな要因があるでしょう。そのなかでも、他人から認められる承認欲求は特にモチベーションを左右します。チームビルディングでは、チームの一人ひとりが同じ目標を共有し、それぞれが行動をするため一体感が出てくるでしょう。そのため、「自分も他の社員に認めてもらいたい」「チームに貢献したい」というマインドが芽生えます。その結果、モチベーションが向上して生産性や業務の質の向上につながるわけです。

コミュニケーションが活性化する

チームビルディングを実施することで、ビジョンや目標の共有が可能となり、チームの士気が向上します。チーム全体の士気が向上することで、社員同士のコミュニケーションも自然と増えていくことでしょう。特に業務で大切な報連相(報告、連絡、相談)の機会が増えていき、ノウハウや悩みの共有もしやすくなります。

社員同士の関係性や信頼感が高まる

チームビルディングの実施により、チーム内のコミュニケーションが活性化すると、メンバー同士の信頼関係が築きやすくなります。特に難しいミッションをクリアすると、達成感や一体感を経験するため、プロジェクトが終了しても良い人間関係を保てるでしょう。そうなると、日々の仕事で抱える悩みの改善も可能となり、職場環境も良好になります。

新たなアイデアが生まれる

プロジェクトのメンバーを構成すると、さまざまな価値観を持つ社員が集まります。さらに、チームビルディングを通じて、それぞれが意見を出し合うと新たなアイデアが生まれるでしょう。少人数で話し合っても出てこなかった新たなアイデアが生まれると、組織のイノベーションにつながります。

以上のように、チームビルディングを実施すると、自社に大きなメリットがもたらされます。

チームビルディングのプロセス

チームビルディングには、以下の5段階があるとされています。

1. 形成期

形成期はチームができたばかりであり、多くのメンバーがお互いに本音を隠している時期です。表向きは和んでいても、チーム全体が同じ目標や価値観を持っているかどうかはわかりません。

2. 混乱期

混乱期はチームができて仕事をスタートしたばかりの時期です。そのため、メンバー同士の意見がぶつかることが多い時期でもあります。

3. 統一期

統一期は、混乱期でメンバー同士の意見や主張が出し尽くされ、膿を出し切った組織となる時期です。メンバー同士がお互いの意見や行動を許容できるようになり、チーム全体が同じ目標を共有するようになります。

4. 機能期

機能期になると、メンバーそれぞれがやるべきことを自らできるようになるでしょう。そのため、リーダーが指示をしなくても各社員が主体的に行動を取ります。この時期は、成功体験も蓄積され、チームの成果も向上する時期です。

5. 散会期

散会期は、プロジェクトチームの目標が達成され、チームのメンバーが相互関係を終わらせる時期です。

チームビルディングは以上のプロセスを経過していきます。

チームビルディングを成功させるために

チームビルディングのプロセスを意識しつつ、成功させるには4つのポイントがあります。

1. 目標やビジョンの設定

チームビルディングの実施では、目標やビジョンを設定することが最も大事です。その方向性により、メンバーそれぞれがすべきことを認識します。また、目標やビジョンが明確になっているからこそ、他のチームとの協力体制が確立できるものです。目標を明確化するには、5W1Hを用いたフレームワークなどを利用してみるといいでしょう。

2. 役割の明確化

目標やビジョンが決まったら、メンバーそれぞれの役割を明確化しましょう。目標達成のために一人ひとりがどんなことができるのか、何をすべきかをはっきりさせると自分の立ち位置がわかります。

3. 問題の解決

チームで業務を進めていくと、問題や課題が発生することがあります。チーム内で発生した問題や課題に対して、メンバーが相互に協力して解決に取り組みましょう。こうした課題を解決していくと、チーム力の強化につながり自社の利益に貢献できるようになります。

4. 対人関係の強化(コミュニケーションを図る)

チームで目標に向かうには、メンバー同士の対人関係も大事です。コミュニケーションを活性化して情報共有をし、お互いにサポートし合いましょう。また、コミュニケーションの活性化により、スキルやノウハウの構築も可能であり、チームがより良い方向に向かいます。

チームビルディングにおける注意点

チームビルディングを実施するときは、以下のことに注意が必要です。

目標の強制をしない

チームビルディングにおいて、目標の共有は必要ですが無理強いしてはいけません。目標を強制することで「やらされている」と感じるメンバーが増え、気分や環境が悪化します。メンバーに強制的な目標を課すのではなく、どうやったら自立して行動できる目標になるかを考えさせることが大事です。メンバーに取り組みたい業務を聞いてみるなど、メンバーの存在を尊重しましょう。

メンバー任せにしない

メンバーが自律して行動することは大切ですが、任せきりにしないことも大事です。メンバーそれぞれがバラバラに行動することで、報連相がうまくいかず、チームの一体感が低下する可能性があります。そのため、リーダーは定期的に個人目標とチームの目標を再確認して、意識の統制を図ることが必要です。

人員配置に気を付ける

チーム編成の際は、人員の頭数だけを揃えるのではなく、人間関係の構築を考慮してください。チームを構成すれば、次第に統一感が出てきます。しかし、頻繁に意見が対立するようでは、前に進みません。そのような場合は、メンバーの入れ替えも検討してみましょう。

以上を注意点として考慮して、チームビルディングを行いましょう。

まとめ

チームビルディングは、コミュニケーションの活性化、モチベーションの向上などさまざまなメリットや効果があります。この記事で紹介した、チームビルディングのプロセス、成功のための方法、注意点を参考にして、チームにあった方法を取り入れてみましょう。

この記事をシェアする

Facebookでシェア LINEでシェア

この記事を書いたコンサルタント

アイコン画像

株式会社FCE

(編集部)

株式会社FCE 人材育成コラム編集部です。 人材開発/研修を検討中の方、組織力の向上を目指し情報収集をしている方向けに有益なコンテンツを発信していけるようサイト運営をしております。

Smart Boarding人材管理なら
社員の人材管理を解決!

受賞歴

※対象カテゴリのうち、対象期間内(2021年7月1日〜2022年6月30日)に投稿された口コミが8件以上あり、各カテゴリで口コミの総得点が上位30%以上のサービス
※1〜※4 マーケティングリサーチ機構調べ 調査概要:(※1,※2)2022年4月期 (※3)2022年6月期 (※4)2022年7月期_ブランド名のイメージ調査

コスト0で始める
タレントマネジメントシステム

アカウント発行フォーム

「FCEグループ個人情報保護方針」「利用約款」をご確認の上、同意いただけましたらチェックをお願いいたします。