これに対しての解決策は、「基本ルールをしっかりと押さえて設定する」 ということです。
はっきりといってしまえば、目標設定は「技術」。基本ルールをしっかりおさえて設定をすれば、すごく良くなります。
ここでいう「基本ルール」は3つありますので、下記でお伝えしますね。ぜひ、部下へ指導する際のガイドラインとして、お使いください。
【目標設定基本ルール①】 期限を明確にすること
まず1つ目は、「期限を明確にすること」 。
1月が年度のスタートである場合、まもなく通期の目標設定をされる機会が来ると思います。
この時に「1年間」で考えるのではなく、その目標は「何年の何月何日までに達成する」と期限を明確に切ること。
これが大切になります。
もちろん、数か月では達成できない事柄もあると思いますので、その場合は大きな目標を「1年間」と捉えたのち、3か月後にはここまで、半年後にはここまで、といった期限を設定するといいでしょう。
【目標設定基本ルール②】達成未・達成が明確な目標にすること
2つ目は、「達成未達成が明確な目標にすること」
例えば新規開拓をするのであれば、
〇年〇月〇日の時点では、
・どのエリアで
・どの商品で
・どんな状態になっていれば達成と言えるか
ということを本人はもちろん、誰がみても達成、未達成がわかる目標にしていきます。
【目標設定基本ルール③】「なぜ・なんのために目標を設定しているのか」にズレがないか確認する
3つ目は、「なぜなんのために目標を設定しているのか」にズレがないか確認すること。
このルールは、「実行することが目標」になってしまうという問題を未然に防ぐためにあります。目標を決めて実行していく中で、いつの間にか「目的」を見失ってしまうことはよくあることです。
例えば、新規顧客の開拓をしていこうという場合。数では達成できたけれども、本来大切にするべきお客様を失っていたり、会社の方針とずれてしまっていたり、なんてこともあります。
他にも、イベントを実施して、何人のお客様を集客するとかっていう目標設定だったとして、そもそもそのイベントの目的は果たせたのか…そうなってしまえば、目標は意味のないものになってしまいます。
せっかく目標を決めて行動するのであれば、達成したい目的にちゃんと向かっている方がいいですよね。
目標を決めたら、最終的に「なぜ、何のためにそれはやることなのか」を丁寧に確認すること。
このひと手間がとても大切なんですよね。
お悩み2つ目:目標設定達成の当事者になれていない
目標はあるけれど「本人に目標を達成したいという意欲がない」という状態。
目標を会社から言われた“ノルマ” として捉えており、自分たちが達成したい目標として意欲的に取り組んでくれない…
意欲がないというと、やる気がないという風に感じてしまいますよね。
そして、やる気がないということは、その社員が「やる気のない人」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、その本質は「当事者になれていない」ということではないでしょうか。
目標の当事者になれていない、目標を自分のものとして捉えきれていないのであれば、「意欲を持てない」のは、当然といえば当然かもしれませんね。
皆さんの周りにも「仕事はそんなに頑張れないけれど、ゲームは頑張れる」という人がいるのではないでしょうか。きっとその方にとっては、ゲームが自分ごとになっているのです。
その他にも、「推し活だけは頑張れる」という人もいます。チケットを取ったりグッズを買ったり、推しのために誰から強いられるでもなく、自分がやりたくてやる。推し活が自分事になっているから頑張れますし、バイタリティが出てきます。
つまり、やる気がないというとネガティブに聞こえますが“当事者になりきれていない” というところに、問題があるのです。
それでは、目標の当事者になってもらうためには、どうしたらいいのでしょうか。
「自分で一度考える」これが最も効果的な方法です。
自分で一度考えるといっても、そもそも目標設定するときに、個人に任せている場合もあれば、会社が決めるという場合もあると思います。それぞれの場合でどのように「考える機会」をつくればよいのかをお伝えします。
自分で一度考える【目標設定を個人に任せている場合】
目標設定を個人に任せている場合、新年というちょうど良い機会でもありますので、
「中長期的のキャリアビジョン」
「私はどんな風な生活や人生をおくっていきたいのか」
ということを考える機会をつくります。
つまり目先の1、2年のことではなく、5~10年といった少し未来のことを見据えてもらう機会です。
その中長期のビジョンの中で今年は、
「こういうことを身に身につけたい」
「こういう成果を自分の仕事で残せればいいな」
というものと紐付いた目標を考えてもらいます。
そうやって、少し先の未来から考えてくると、漠然としていた目標と自分自身のつながりが、ぐっと具体的になって、目標を “自分のもの”として捉えやすくなるんですね。
自分の人生の当事者として考える良い機会にもなると思います。
ただそうやって本人に考えてもらった目標が、 会社が期待している内容とちょっと違うということもあるかもしれません。
そういった場合は個人で考えてもらうプロセスの中で、
「会社がその方に期待していること」
「その人の能力やどんなところを評価しているか」
といったフィードバックをする機会も合わせて持っておくことが重要です。
会社が期待していることや、どの部分を評価しているかということを伝えていく機会を定期的に設けておくことで、自然とその方向性も加味しながら目標を考えてくれるようになります。
自分で一度考える【会社が目標設定をする場合】
会社で決めた目標に取り組んでもらうという場合、会社として
「こういう目標を達成してもらいたいと思っているけれども、あなたはどう思うか」
目標というものをテーマにして、 お互いにディスカッションをする機会をつくります。
こういったテーマでディスカッションをすると、「自分で、その目標について考える」という時間を作り出せるので、会社で決めた目標であっても、当事者として捉えやすくなるのです。
全員でこういったディスカッションの時間が取れない、すでに決まっている目標を実行するだけだ、という場合もあるかもしれません。
そういった場合でも、ぜひ各々の目標について
「本人はどう思っているのか」
「どんな風に取り組もうと考えているのか」を、
上司と部下ですり合わせができる時間を作っていただけると良いかと思います。
このプロセスがあるだけでも、目標を自分事にできるかできないかの度合いが、全然変わってきますので、ぜひ取り組んでみていただけたら嬉しいです。